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種生物学会 - The Society for the Study of Species Biology

Last Updated on 22-11-2017

【連絡】 会長就任のご挨拶  角野康郎

ごあいさつ  

角野康郎 (神戸大学)

   2010年1月から、川窪伸光副会長、小林剛庶務幹事、布施静香会計幹事ほか、選挙で選ばれた14名の幹事と会長が依嘱した3 名の監査委員とともに、会長として種生物学会の運営にあたることになりました。英文誌Plant Species Biology編集委員長は引き続き大原雅さんに、和文誌編集委員長は新たに藤井伸二さんに担当いただくことになります。当会と会員の皆さんの研究の発展のために全力をつくして参りますので、宜しくお願い申し上げます。
   本学会は会員約420名の小さな学会です。学会として発足したのは1980年ですが、その前史を含めると40年を超える歩みをもちます。1968年、分類学を新しい観点から見直し、発展させようという意気込みあふれた若手研究者が「種生物学・進化生物学的な考えや手法を身につけて分類学の勉強会にしようとして、(中略) 実験分類学シンポジウムが準備された。」と記録にはあります。植物分類学の研究者にとどまらず、当時の分類学に飽き足らない若い有志が集まり、生態学や遺伝学の研究者も加わって企画された植物実験分類学シンポジウムが種生物学会の前史です。第7回シンポジウムからは、その内容が「種生物学研究」として毎年刊行されています。手近に本誌がない場合は、国立情報学研究所のCiNiiから読むことができます。どのような手法で何が研究され、どのような議論がなされたのか、種生物学会の原点を知ることのできる貴重な記録になっています。
   それから40年余、研究の世界では、用いる手法もテーマも新しくなってきています。しかし、多様な種の生活史特性を地道に解明するという原点をおろそかにしないことが、種生物学が確固たる基礎をもった分野であり続けるためには不可欠であると私自身は考えています。近年、記載的な論文は評価されない傾向にありますし、枚挙主義として否定的に論じられることも少なくありません。しかし、事象の解明とその正確な記載の積み重ねなしに学問の発展はないというのが私のこだわりです。そして、種の巧みな生活史特性とそれを制御する環境要因を明らかにすること、植物や動物・菌類などの種間相互関係を解きほぐし、進化の背景まで含めてダイナミックに考察しようとするのが種生物学の本質であると思います。
   種生物学の最先端の研究はPlant Species Biology誌をご覧いただけばわかるように、多岐な分野に広がっています。今や世界各国から投稿があり、学会誌としての国際的評価が高まっていることは喜ばしいことです。これは編集委員長や編集幹事の皆様の努力もさることながら、会員の皆さんがよい論文を投稿されてこそ維持されるものです。この国際誌を種生物学会の看板として、ぜひ育てていきたいと思います。
   また和文誌では、さまざまな領域の最先端のトピックや研究手法を、読みやすい形で紹介しています。これは現在、単行本として市販され誰でも読むことができますが、会員の皆さんは本誌を通じても種生物学の広がりと発展、さらには今後の課題を知ることができます。
   種生物学会のもう一つの特色は、毎年1回開催される「種生物学シンポジウム( SSSBNL40.pdfに詳細)」です。若い方の参加が多く、毎年盛り上がります。昨年まではほとんど合宿形式でやっていましたが、交通の便の悪い場所での開催は参加しづらいという声があり、今年から試行的に、合宿にこだわらずにシンポジウムを開催してみようということになりました。今年は12月に京都大学で開催予定ですので、ふるってご参加下さい。このシンポジウムをきっかけに研究に目覚めた若者も少なくないという、ユニークなシンポジウムです。
   種生物学会を運営する上での基本は会則です。運営の透明化を目指した前執行部の可知会長をはじめとする皆さんのご尽力によって、会則が見直され、執行部の役割も明確になりました。会員の皆さんの意見を反映しやすいように監査委員には会計だけではなく業務監査もお願いすることになりました。また事務局が固定されたことは、連絡の利便性や役員の負担軽減につながることでしょう。
   これで種生物学の発展という、当学会の本来の責務に専念できる体制ができました。種生物学はどうあるべきか、何を目指すべきかといった根本的な議論が盛り上がり、さまざまな研究の進展に寄与することを期待して、会長就任のごあいさつといたします。

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