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種生物学会 - The Society for the Study of Species Biology

Last Updated on 06-10-2017

【連絡】 第7回 種生物学会片岡奨励賞 選考報告

 選考委員会は,推薦のあった候補者の研究業績および種生物学会での活動につい て,慎重に調査審査し,最終選考会議を10月25日に京都大学で行いました。その結果,選考委員の全員一致で,以下の2 名に片岡奨励賞を授与することを決定いたしました(表記は五十音順)。

なお授賞式は,11月30日(土)の種生物学会2013年度シンポジウムの懇親会にて行いました。

学会賞選考委員長

西脇亜也

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第7回片岡奨励賞授賞者

・久保田 渉誠 氏(東京大学)

・山尾 僚 氏 (九州大学)

    

片岡奨励賞選考委員:井鷺裕司・川北篤・西脇亜也・吉岡俊人

【受賞理由】

久保田渉誠 氏(東京大学)

 久保田渉誠氏はこれまで、植物の繁殖形質の進化をテーマに、オオバナノエンレイソウとその近縁種を対象 に、生態学・系統学・集団遺伝学・発生学・分子生物学など多角的な視点から研究をおこなってきた。オオバナノエンレイソウにおいて自家不 和合性集団と自家和合性集団が独立して存在することに着目し、その適応的意義や進化プロセスについて、緻密な計画・実験・観察によって明らかにした。その過程で、複数の自家和合性集団において雄蕊が矮小化した雌性個体が存在することを発見した。さらには、花の形態形成遺伝 子の発現パターンを近縁種間で比較する事により、花器官の進化発生学的な基盤についても解析した。

 これら一連の研究には、これまでの種生物学が対象としてきた研究分野全てを包含しつつ、従来の枠にとど まらない異分野の知見や研究手法が取り入れられている。そして、研究成果の一部は種生物学シンポジウムポスター賞およびPlant Species Biology論文賞を受賞しており、種生物学と種生物学 会の発展に大きく貢献してきた。

山尾 僚 氏  (九州大学)

 陸上植物の生活環を支え、陸上生態系に大きな影響を与えている主要な共生系の中でも、植物が自らの食害防御を動物に託し、その見返りに光合成産物を与える防衛共生はユニークであり、どのような生態的背景がこの防衛 戦略を生んだかは強く関心を引くテーマである。山尾僚氏は熱帯で卓越している防衛共生の研究材料として、日本の山野にごく普通に自生して いるアカメガシワを選び、本種が可塑的に防衛戦略を切り替える能力を有していることを発見した。この興味深い性質を利用して、どのような 生態的条件でアリを利用した防衛戦略が有利になるのかを数々の優れた研究により明らかにした。

 これまでに発表された研究内容が優れていることはもちろんだが、アカメガシワ の近縁種は100種以上が熱帯域にも広く分布する拡張性の高い系であり、一連の研究を通して防衛共生系がどのように起源し、またいかにして安 定的に維持されてきたかという大きなテーマの解決の糸口となりうることから今後の研究の発展が大いに期待された。また業績の質、量ともに 卓越しており、種生物学会大会における二度のポスター賞受賞をはじめとして、学会のレベル向上への貢献も大きい。

●なお,この内容は,学会員むけ[mailnews-sssb] にて2014年7月18日に配信済みです。

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